生物多様性の基礎情報は、そのものに学術的価値があるだけでなく、科学技術を担う人材の育成や生物資源探索、観光産業の振興などに活用することができる知的資源としての価値を持ちます。
東南アジア熱帯地域の核心部に広がるボルネオ島の熱帯雨林は、膨大な種数の生物を擁する世界でも有数の生物多様性のホットスポットとして知られています。マレーシア連邦サラワク州は、この熱帯雨林の保護のため、100 万ヘクタールを目標に国立公園の面積の拡大を進めてきました。これまでに指定された国立公園の面積は80万ヘクタールに及ぶ一方で、それらの保護地域の熱帯雨林が擁する生物多様性の基礎情報は、ほとんど得られていないのが実情です。また、その生物多様性の多面的価値や保護地域の重要性に対する地域住民の理解も十分に得られているとは言えません。
本プロジェクトでは、サラワク州の広範な地域に点在する国立公園とその周辺地域、および国立公園の新設候補地の熱帯雨林において、そこに生息する生物の分布生息状況や多様性の実態を、DNA バーコーディングなどの先端技術を駆使して網羅的に調査することで、明らかにしていきます。そして、その結果を集積したデータアーカイブを構築し、生物多様性科学推進のための研究基盤と、知的資源を活用するための"生物多様性知的資源プラットフォーム"を整備します。さらに、このプラットフォームを利用した教育・社会普及プログラムを開発します。これらの活動は全てサラワク州の研究機関と連携して行い、科学的な技能を備えた人材を育成し、生物多様性が提供する知的資源に対する地域社会の認識を高め、自律的で持続的な生物多様性活用システムの構築を目指します。
本プロジェクトは次の6つのサブテーマから構成されます。
①生物多様性科学に関する研究体制の強化
②生物多様性研究で得られた最新情報を多面的に活用するプラットフォームの構築
③生物多様性に関する最新情報をエコツーリズムなどの知的産業に活かす体制の強化
④知的資源としての生物多様性の価値に対する地域社会の認識強化
⑤生物多様性科学で得られた知的資源を幅広く活用する人材の育成 — ①〜④の各事業への参加を通して —
⑥保護地における生物多様性の多面的利用を強化する政策の提言 — ①〜⑤の各事業に関連して —
日本側代表機関
京都大学
日本側共同研究機関
森林総合研究所 | 法政大学 |
島根大学 | 鹿児島大学 |
高知大学 | 神戸女学院大学 |
東京都立大学 | 岡山大学 |
国立環境研究所 | 信州大学 |
北陸先端科学技術大学院大学 | 慶應義塾大学 |
兵庫県立大学 | 山形大学 |
山口大学 |
サラワク側代表機関
サラワク州森林局 Forest Department Sarawak
サラワク州森林公社 Sarawak Forestry Corporation
サラワク州生物多様性センター Sarawak Biodiversity Centre
サラワク側共同研究機関
世界自然保護基金マレーシア WWF-Malaysia
日本側研究者
研究代表者
市岡 孝朗(京都大学)
研究者・専門家
西川 完途(京都大学) | 阪口 翔太(京都大学) |
佐藤 博俊(京都大学) | 水野 尊文(京都大学) |
有本 晃一(京都大学) | 川越 葉澄(京都大学) |
市榮 智明(高知大学) | 清水 加耶(島根大学) |
竹内 やよい(国立環境研究所) | 沼田 真也(東京都立大学) |
山下 聡(森林総合研究所) |
浅野 郁(信州大学) | 遠藤 知二(神戸女学院大学) |
大沼 あゆみ(慶應義塾大学) | 金尾 太輔(山形大学) |
児島 庸介(東邦大学) | 敷田 麻実(北陸先端科学技術大学院大学) |
島野 智之(法政大学) | 高橋 進(東京都立大学) |
田金 秀一郎(鹿児島大学) | 竹松 葉子(山口大学) |
橋本 佳明(兵庫県立大学) | 兵藤 不二夫(岡山大学) |
山崎 健史(人と自然の博物館・兵庫県立大学) | 駒田 夏生(広島大学) |
サラワク側研究者
研究代表者
Runi Sylvester Pungga(Forest Department Sarawak)
責任研究者
Mohizah Mohamad (Forest Department Sarawak)
Dr. Melvin Terry Gumal (Sarawak Forestry Corporation)
研究者・専門家
Forest Department Sarawak
Paulus Meleng* | Bibian Michael Diway |
Aurelia Dulce Chung | Ling Chea Yiing |
Khairunnisa Othman |
Julia Sang
|
Nur Safinas Jelani | Mohamad Yazid Bin Hossman |
Noorhana Mohd Sapawi | Mohamad Nafri Bin Ali |
Hanizah Razali
|
Whillander Lawrence |
Shirley Chip | Annya Ambrose |
Abdul Ghani Yusuf | Empenit Empawi |
Sarawak Forestry Corporation
Paschal Anak Dagang*
|
Clement Het Kaliang*
|
Taha bin Wahab | Connie Geri |
Roslina Ragai | Voon Mufeng |
Louis Velda Anak Dominic Salon | Noraisah Majri |
Tinna Wound | Azroie bin Denel |
Jacqualine Henry Ripan | Gleecia Barry |
Endela Anak Tipot | Muliati Musa |
Sarawak Biodiversity Centre
Holed Juboi*
|
Mohd Farith bin Kota |
Jamilah Hassan
|
Gilbert Lau Sei Kung
|
Ajuwin Lain
|
Velnetti Linang |
Cindy Lai Sin Chai |
|
* Principal investigator of research unit
2019年度
(1)著書
(2)著書(分担執筆)
(3)原著論文(査読有)
(4)学会発表
2020年度
(1)著書
(2)原著論文(査読有)
(3)原著論文(査読なし)
(4)その他の著作物
(5)学会発表
2021年度
(1)原著論文(査読あり)
(2)学会発表
国内学会
国際学会
2022年度
(1)原著論文(査読あり)
(2)その他著作物
(3)学会発表
国内学会
浅野郁(信州大学)・清水加耶(島根大学)・Meleng P (Forest Department Sarawak)・Hossman MY (Forest Department Sarawak)・Rahman MYA (Forest Department Sarawak)・市岡孝朗(京都大学). 電子野帳システムを用いた植物繁殖フェノロジ-調査の実践. 第134回日本森林学会大会. 鳥取(オンライン), 2023年3月27日
国際学会
招待講演
竹内やよい. 熱帯雨林の大イベント:一斉開花と植物の戦略. 京都大学生態学研究センター公開講演会 花咲き実結ぶ東南アジア熱帯雨林-一斉開花結実をめぐる植物と動物の謎に迫る-. 京都, 2023年2月5日(招待公演)
2023年度
(1)原著論文(査読あり)
(2)その他著作物
(3)学会発表
国内学会
招待講演
2024年度
(1)原著論文(査読あり)
(2)その他著作物
(コンテンツ随時追加予定)
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